【製造業M&A】地元の自動車部品工場を救ったM&A

こんにちは。経営承継支援のブログ担当チームです。

自動車部品工場の後継者不在問題を、川下企業による垂直統合M&Aで解決した成約事例です。
垂直統合とは川上・川下の企業が統合する戦略で、製造機能の内製化と付加価値向上が主な目的です。
製造業M&Aでは技術力・人材などの無形資産の評価が成功の鍵となり、株式譲渡が多く活用されます。

目次 [ ]

地元の自動車部品工場を救ったM&A

今回の譲渡に関するご相談者は、50代のオーナー様でした。

オーナー様の会社は、自動車産業が盛んな地域であり1990年代にご夫婦で自動車部品の金属加工や金型製作事業をスタートしました。

金型製造というのは製作から納品までのリードタイムが長く、現金回収まで非常に時間がかかります。

また製造業は、運転資金および設備にも多額の資金を必要とするため、多額の借金を抱えていらっしゃいました。この大きな負債を抱えるプレッシャーのなか、今までのように経営を続けることは精神的に辛いと感じていらっしゃいました。

娘さんはいらっしゃいましたが、会社を継ぐご意思はありませんでしたので、第三者とのM&Aを検討し始めたのだそうです。

オーナー様は、第三者に自社の株を譲渡し、経営から離れ技術者として現場に集中し、これまで以上にモノづくりに励みたいという想いがあり、当社、経営承継支援のホームページをご覧になりお問合せ頂き、お話を進めることになりました。

 
以下の表では、今回の事例でも採用された株式譲渡と、製造業M&Aでよく比較される事業譲渡の主な違いをまとめています。

比較項目 株式譲渡 事業譲渡
対象 会社全体(株式) 特定の事業・資産
許認可の引き継ぎ 原則そのまま引き継ぎ可 原則として再取得が必要
負債の引き継ぎ 全て引き継ぐ 選択的に除外可能
手続きの複雑さ 比較的シンプル 資産・契約ごとに手続き要
製造業での採用頻度 高い(技術・人材を一体で承継) 一部事業を切り出す場合に有効
本事例での該当 ○(株式譲渡を適用)

本事例のように技術者や設備・許認可を一体で引き継ぐ必要がある製造業のM&Aでは、手続きがシンプルで事業の連続性を保ちやすい株式譲渡が選ばれるケースが多い傾向にあります。
 

川下事業から川上事業への参入!垂直統合M&A戦略

オーナー様の会社の強みは、自動車部品関連だけでなく、防衛関連の仕事も受注する高度な技術力です。

私は、技術的な知見があり、安心して長期供給体制も維持できる買い手候補先を当社独自のデータからリサーチをおこない、譲渡会社とのシナジーのある同業をリスト化しました。

本社周辺のエリア分析を実施したところ、系列との関係が強い地域であり、同業との提携は難しいことが判明しました。

アプロ―チ先を変更し、川上と川下による垂直統合戦略として、自動車関連および防衛関連の機械工具を取り扱う卸売業の会社を買い手候補先として選びました。

 

買い手候補先の成長戦略は次のとおりでした。

 

・自社の販売ルートを活用し、高付加価値のある自社製品の販売による利益率の改善

・優秀な技術者集団および製品開発をおこなう製造拠点の獲得による製造分野への進出

 
■垂直統合M&Aとは何か
垂直統合とは、サプライチェーン(供給連鎖)上の異なる段階にある企業同士がM&Aを通じて一体化する戦略です。製品が原材料から最終消費者に届くまでの流れを「川上(上流)→川下(下流)」と表現し、川上とは原材料調達・製造、川下とは販売・流通・小売を指します。

本事例では、機械工具の卸売(川下)を営む買い手企業が、自動車部品の金属加工・金型製作(川上)を手がける売り手企業を買収しています。これにより買い手は「自社製品の製造機能」を内製化し、製造コストの削減と付加価値向上を同時に実現できます。

■製造業M&Aにおける代表的なスキーム
製造業のM&Aで用いられる主なスキームには「株式譲渡」と「事業譲渡」があります。株式譲渡は会社の株式をそのまま売買する手法で、許認可や取引先との契約関係を引き継ぎやすいメリットがあります。一方、事業譲渡は特定の事業のみを切り出して売買する手法で、不要な資産や負債を引き継がずに済む柔軟性があります。製造業では設備・技術・人材が一体で価値を生むケースが多いため、本事例のように株式譲渡が選ばれることが一般的です。

■製造業M&Aで重視される「見えない価値」
製造業のM&Aでは、決算書に計上されない「無形の価値」が成否を左右します。長年蓄積された技術力・ノウハウ、熟練技術者の存在、取引先との信頼関係などがその代表です。本事例でも、防衛関連案件を受注できる高度な技術力が買い手の意思決定を後押ししました。こうした価値を正確に評価・訴求できるかどうかが、M&A成功の重要な鍵となります。
 

技術者集団が決め手となる製造業M&Aのポイント

本件は、オーナー様からご相談からご成約まで1年間の時間を要しましたが、M&A後もお互い成長できる友好的な関係に成り得るかどうかを、両者は何度もミーティングを重ねて参りました。

製造業におけるM&Aのポイントは、「技術力の高いオーナー様および技術者集団の長年の培った技術力」です。

オーナー様は会社の引継ぎ条件および譲渡金額も納得のいく結果でM&Aの成約に至りました。

オーナー様および買い手様ともにたいへん喜んでいただきました

経営承継支援では、本事例のように決算書にも現れない会社の価値にも注目し、最適な引き継ぎ先におつなぎいたします。

株式会社経営承継支援は、一社でも多くの企業を廃業危機から救うため、全ての企業様のご相談をお受け致しております。
M&A(株式譲渡、事業譲渡等)に関して着手金無料でご相談可能ですので、お気軽にお問合せくださいませ。

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