目次
オーナー1人の薬局譲渡!?買収ニーズ急増の裏に潜む落とし穴
新宿区で調剤薬局を経営する売り手オーナー様は、調剤から事務作業までを全部一人でおこなっていたため、体力的な限界を日々、感じておりました。
住居が近隣ではなく、また病院からの処方箋も1日20枚ほどと少なかったため、このまま廃業するか、誰かに引き継いでもらうか、悩む日々が続いていたそうです。
最近では、このような1店舗を経営している売り手オーナー様からのご相談が増えており、買い手は法人、個人ともに提案できることが、調剤薬局M&Aの特徴と言えます。
調剤薬局M&Aの場合、買い手となる個人は、薬剤師の方であり、比較的スムーズに資金調達ができます。
今回ご紹介する売り手オーナー様も調剤薬局を1店舗経営しており、薬剤師の知り合いから当社「経営承継支援」の存在をお知りになり、霞が関にある当社にお越しいただきました。
売り手オーナー様には、M&Aで必要となる決算書や事業に関する資料を準備していただき、本件スタートしました。
■調剤薬局M&Aで急増する買収ニーズとその背景
近年、調剤薬局業界では大手チェーンや複数店舗展開を目指す経営者による買収ニーズが急増しています。その主な背景として、調剤報酬の引き下げによる収益環境の悪化、薬剤師不足による人材確保コストの上昇、そして後発医薬品推進や在宅医療対応など業務の複雑化が挙げられます。こうした環境変化により、小規模・個人経営の薬局が単独で生き残ることの難しさが増しており、M&Aによる事業継承や統合が現実的な選択肢となっています。
■薬局M&Aで押さえるべき基本用語
・**事業譲渡**:薬局の調剤業務・設備・顧客(患者)基盤・許認可などを個別に買い手へ引き継ぐ手法。今回の事例もこれに該当します。
・**営業権(のれん)**:薬局が積み上げてきた処方箋枚数の実績・立地・患者との信頼関係など、財務諸表に現れない無形の価値。薬局M&Aでは営業権評価が譲渡価格に大きく影響します。
・**株式譲渡**:法人が経営する薬局の場合、株式ごと買い手に譲渡する手法。手続きがシンプルな反面、簿外債務のリスクも引き継ぐ点に注意が必要です。
■買収ニーズ急増の裏に潜む「落とし穴」とは
買収ニーズが高まる一方で、売り手側が陥りやすい落とし穴があります。最大のリスクは「従業員不在・オーナー1人体制」です。買い手にとって、引継ぎ後に即戦力となるスタッフがいない薬局は運営リスクが高く、交渉が長期化したり、希望価格を下回る評価になるケースがあります。また、処方箋の取得元である医療機関との関係がオーナー個人に依存している場合、譲渡後に処方箋枚数が減少するリスクも生じます。売却を検討する際は、こうしたリスクを事前に整理し、仲介会社と連携して適切な買い手候補にアプローチすることが成功の鍵となります。
薬局の譲渡には大きく「事業譲渡」と「株式譲渡」の2種類があり、個人経営か法人経営かによって適用できるスキームが異なります。以下の表で、それぞれの主な違いを確認しておきましょう。
| 比較項目 | 事業譲渡 | 株式譲渡 |
|---|---|---|
| 対象 | 特定の資産・権利・業務 | 会社の株式(法人全体) |
| 手続きの複雑さ | やや複雑(個別契約が必要) | 比較的シンプル |
| 許認可の引継ぎ | 再取得が必要な場合あり | 原則そのまま引継ぎ可 |
| 簿外債務リスク | 買い手は原則引き継がない | 買い手がリスクを引き継ぐ |
| 個人経営薬局への適用 | ◎ よく用いられる | △ 法人格が必要 |
| 営業権評価 | 譲渡価格に反映されやすい | 株式価値に含まれる |
個人経営の薬局では法人格がないため、事業譲渡が主な選択肢となりますが、許認可の再取得など手続き上の注意点もあるため、専門家への相談を早めに検討することをおすすめします。
従業員不在がネックとなり、買い手がみつからない!?
立地は新宿区と人口の多い場所でもあったのですが、やはりオーナー1人であり、他の従業員もいない小さな薬局であることがネックとなり、なかなか引継ぎ先が現れませんでした。
「23区内、特に人が多い地区の薬局が欲しい」というニーズをお持ちの都内で複数薬局を展開する経営者様から問い合わせがございました。
今回の新宿区の薬局をご提案したところ、買い手候補である経営者様は、23区内に集中し店舗を拡大ニーズがあり、すぐに興味を示されました。
新宿エリアの施設から新たに処方箋が取得できる情報を持っており、かつ、在宅・訪問薬剤師の拡大も図っていたため、1人オーナー薬局は新宿の拠点としてシナジーがあるとのことでした。
ご相談いただいてからちょうど半年後、1人オーナー薬局は無事、営業権も評価された金額で譲渡が完了しました。
事務作業から解放された売り手オーナー。勤務薬剤師として収入もUP!
オーナー様は、本来、廃業を選択していれば、店舗の原状回復費や薬の廃棄処分料等を含めた清算手続き費用を背負うことになります。
しかし、これまで培ってきた実績も評価された金額を手に入れることもでき、たいへん喜んでいただきました。
さらに、買い手の経営者様の計らいにより、オーナー様は、店舗譲渡後も引き続き勤務薬剤師として仕事を続けることができ、事務作業はなくなり、以前より給料制へ移行し手取りも増えたとのことです。
M&Aでは、事業譲渡後、本件のように必ずしもリタイアメントしなければならないとは限りません。
もしご自身による経営にこだわらないのであれば、他社との提携による働き方を変えてみることも一つの方法といえるでしょう。
株式会社経営承継支援は、一社でも多くの企業を廃業危機から救うため、全ての企業様のご相談をお受け致しております。
M&A(株式譲渡、事業譲渡等)に関して着手金無料でご相談可能ですので、お気軽にお問合せくださいませ。